私はグローバルビジネスの現場長として、大きな実績を上げた。そのきっかけは、世界のトップに怒られたことに始まる。

 主張が強く手を焼いていた部下についこぼしたときに、そのトップにこんな指摘を受けた。「営業に人格指導するな! 数字が出なくなる!」と叱咤されたのだ。

 凄いことを言うなぁ・・・ひどいなぁと正直その時は思った。しかし、自分もグローバルエグゼクティブとして徐々に成長していくと、その言葉の真意を肌で感じられるようになった。「長所を見て経営せよ!」ということだったのだ。

欠点を見つけているヒマなんてない

 ここで、本日付けで会社をやめ、元同僚4~5名で起業することを想像していただきたい。ゼロからの立ちあげだ。「ビジネスを作らなきゃ!」とプレッシャーを感じることだろう。その時におのずと関心が向かうのは、共に働く仲間の強みのはずだ。

 最初に仲間の欠点に目が向く人はまずいないのではないか。なぜなら欠点を直しても金にはならないことにすぐ気づくからだ。

 もちろん強者の論理で、トップに上がっていく人間にはいつか弱みの是正教育が不可欠だ。ただし、強みの強化なくして成功はない。大事なのは優先順位なのだ。

 個々人が自分の強みに基づき、思いを発信することは、バブル崩壊のインパクトを削減する最大のガバナンス策にもなる。

 そういう意味で、昨今ダイバーシティが大きく叫ばれ、個性を尊重する風潮が出てきたことは素晴らしい。それぞれが自分らしい働き方を選択できるようになった。まずはステージ1到達だ。