大河ドラマ『光る君へ』で、渡辺大知が演じる藤原行成、町田啓太が演じる藤原公任、金田哲が演じる藤原斉信、本田大輔が演じる源俊賢(道長の妻・源明子の兄)の四人は、一条朝の「四納言(しなごん)」と呼ばれる、道長政権を支えた公卿たちである。今回はこの四納言のうち、一緒に登場することの多い、藤原行成、藤原公任、藤原斉信の三人をご紹介したい。
文=鷹橋 忍
【藤原斉信】朗詠の名手
藤原斉信は康保4年(967)に生まれた。道長より、1歳年下である。
父は太政大臣の藤原為光(段田安則が演じた藤原兼家の異母弟)。母は藤原敦敏の娘である。
正暦5年(993)年に蔵人頭となり、長徳2年(996)に参議を経て、大納言となり、長元8年(1035)3月23日に、69歳で死去した。
斉信は優れた容姿の持ち主であったようで、ファーストサマーウイカが演じる清少納言(ドラマでは「ききょう」)は、『枕草子』のなかで、その容姿の素晴らしさを讃えている。
政治家としても有能で、詩歌の才にも恵まれており、声も良く朗詠(詩などを曲節をつけて、吟唱すること)の名手であったという。
斉信は『紫式部日記』にも多く登場し、紫式部も好意的な目を向けているようである。
清少納言との関係は?
『枕草子』「故殿の御ために」には、斉信が清少納言と会うたびに、「どうして私と親しく、お付き合いなさらないのか」と言うので、清少納言は「あなたをお誉めすることができなくなってしまうのが、残念なのです。私は、主上(天皇)の御前でも、あなたを誉めている。でも、関係もったら、気が咎めてしまい、誉めることができなくなってしまでしょう」と答えたという記述がみえる。
清少納言の本心なのか、それとも、うまく受け流しただけなのだろうか。