一番つらかったのは祖父の認知症が進んだことです。だんだん、祖父が私のこともわからなくなっていくのは耐えがたい経験でした。祖父は地元で市議会などのまとめ役をし、変革推進派だったと聞いていました。周りからも慕われていたようです。ゆえに祖母も両親も、若かりし日の祖父の姿を想い浮かべ、介護が必要な現状を受け入れられなかったのでしょう。祖父も何があっても文句は言わず、ずっと黙っていました。ある意味、お互いの「愛」の姿かもしれませんが、この「愛」は、介護される本人だけでなく介護する家族の肉体、精神までボロボロにしてしまうものです。この経験は、私が介護を考える上で、非常に大きな出来事となりました。
プロは介護される側の「生きがい」を引き出してくれることも
このような介護の仕方は家族を幸せにはしません。介護では、「愛」よりも「正しい情報」を優先しましょう。そこでなすべきことは、まずは「介護のプロ」に相談し、任せる所は任せること。そうやって、親も自分も周りもハッピーになる道を選ぶことです。
介護のプロの価値は下の世話など、物理的な身の回りの生活補助だけではありません。なんらかの障害を抱えた人であっても「生きていてよかった」と思える瞬間を生み出させることが可能です。
親は子どもに遠慮してしまうこともあります。そこで頼みづらいことは我慢してしまうことがあります。しかし、介護のプロは他人なので、なんでも堂々とお願いすることが可能です。
介護のプロに相談するもう1つのメリットは、早い段階で対応できれば、症状の進行を遅らせられる可能性が高まるということです。