(人事・戦略コンサルタント:松本利明)
こんにちは、人事戦略コンサルタントの松本利明です。PwC、マーサー、アクセンチュアなどの外資系大手のコンサルティング会社などで24年以上、人事と働き方の改革を行ってくる中で「おやっ!?」と思えることが実は多く発生してきました。
実は、世間で言われる「セオリー」の9割が間違っているのです。思ったような効果が出ないのは、計算ミスより計算式そのものが間違っているのです。うすうす、あなたも気づいているのではないでしょうか?
働き方改革を実現するには、モチベーションが下がりまくった「働かない中高年」問題の解決が不可避ですが、上手くいっていない企業が9割です。そう、中高年活用のセオリーには大きな罠があるのです。
寄り添うとかえって拗ねる中高年
シニア層となったビジネスパーソンは、役員などで活躍するごく一部の人を除いて、大半は次第に役職を離れ、後進にポストを譲るようになります。
すると人事担当者も上司となった同期・後輩も、その人のこれまでの貢献に誠意を払いつつ、置かれた現状を察し、「寄り添う」アプローチを取るのが一般的です。たとえば、エニアグラムなどを使って本人の資質を炙り出し、ライフラインを描いてやったり、過去の成功と結びつけて自信を取り戻させ、「もう一度頑張るぞ!」というモチベーションアップをはかれる研修を施してやったりするのがスタンダードな対応です。同時に、定年後を想定し、マネープラン研修や新たな知識やスキルを学びなおす機会を提供します。
これらは一見理にかなっているように見えますが、ここに罠があります。どんなに正しい理屈を言われても、昇進への道も断たれ、役職から外され、給料が下がってしまえば、どんな人だってやる気はおきません。それが人間の本質です。