アルザスはワイン文化の街か? ビール文化の街か?

フランスとドイツの「国境の街」で味わう食の多様性

2019.10.04(Fri)佐藤 成美

 タルトフランベは、農家でパンを焼くための窯の温度を測るのに考案された料理だとか。家庭料理だったが、1950年代にストラスブールのレストランで提供されたのがきっかけで、アルザス地方の名物料理として知られるようになった。このタルトフランベはフランス語。当地のアルザス語では「フラメンキッシュ」、さらに隣のドイツでは「フラメンクーヘン」と呼称が多様であるところがこの地方らしい。

 フランスやドイツなどヨーロッパ諸国と同様に、アルザス地方でもたくさんの種類のチーズを食べられている。タルトフランベで使うフロマージュブランは、フランス北部でよく食べられているチーズで、牛乳を乳酸発酵させたもの。熟成していないため、なめらかなクリーム状の舌触りで、ヨーグルトに似た風味である。

 一方で、「ここの名物はマンステールチーズだよ」と地元の人が教えてくれた。さっそく、スーパーマーケットを物色すると、マンステールチーズをほどなく発見。ヴォージュ山脈で修道士が作り始めたウォッシュチーズだ。表面が黄色っぽく、匂いはかなり強烈だ。中はねっとりとしていて濃厚な味わい。アルザスワインと合わせるとなお美味しい。

マンステールチーズ(クミン入り)。表皮を熟成させたウォッシュタイプ。

食から感じるアルザスのアイデンティティ

 スーパーマーケットでは、アルザス地方の製品はアルザスのマークをつけたりコーナーを設けたりして、他の製品と区別していた。それはどこのスーパーマーケットでも同じだった。ここにアルザス地方の人々のアルザスに対する強い思いを感じた。

 戦争の影響により、フランスになったり、ドイツになったりと複雑な歴史を繰り返してきた。だが、住人たちは「どうであろうとここはアルザスであり、私たちはアルザス人だ」というアイデンティティを大切にしているのだろう。アルザスの食から、それを感じることができた。

いかがでしたか?
JBpress をブックマークしましょう!
Twitterで @JBpress をフォローしましょう!
Facebookページ に「いいね」お願いします!

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る