アルザスはワイン文化の街か? ビール文化の街か?

フランスとドイツの「国境の街」で味わう食の多様性

2019.10.04(Fri)佐藤 成美

家庭料理もドイツの影響が色濃く

 ワイナリーのレストランでは、多くの人が「シュークルート」を食べているのを見かけた。シュークルートは、キャベツの漬物を豚肉やソーセージ、ジャガイモとともにスパイスを入れて煮込んだアルザスの名物家庭料理である。たっぷりのキャベツに肉類も加わり結構なボリュームだ。キャベツの酸味と肉のうまみ、ソーセージの燻製の香りの絶妙なバランスを楽しむことができる。

(上)アルザスの家庭料理「シュークルート」。(下)ストラスブール市内のスーパーマーケットに置かれるドライソーセージ「ソーシソンセック」。

 さて、実際に食べてみると、このキャベツは、ドイツ料理でソーセージの脇についているザワークラウトだった。ドイツでは肉料理の付け合わせとして食べるザワークラウトも、アルザス地方では肉類とともに煮込んでしまう。キャベツに漬物と煮込むのに欠かせないソーセージは、「クナック」(knac)あるいは「ストラスブールのソーセージ」(Sucisses de Strasbourg)という。

 フランスもドイツと同様にハムやソーセージなどの肉製品が多いが、とりわけドイツの影響が強いアルザス地方では種類が多く、独自のハムやソーセージの文化がある。スーパーマーケットに行くとソーセージやハムなどの売り場がとても広く、ドライソーセージから骨付きのハムまで品揃えが多い。ハムやソーセージがたくさん食べられているのが分かる。

 フランスではドライソーセージを「ソーシソンセック」という。日本でいうサラミで、表面は白いカビで覆われ、その皮をむいて薄く切って食べる。各地で味付けや製法などが少し異なり、地名がつけられている。このあたりは、「ストラスブールのサラミ」(salami de Strasbourg)あるいは「アルザスのソーシソン」(Saucisson de Alsace)という。

 店頭には、ハーブをまぶしたものやスパイスがきいたものと、いろいろな種類のソーシソンが店先に置かれたり吊るされたりしている。こちらの人々にとってはとても美味しそうに感じる光景なのだそう。地元に住む知人も「ソーシソンが大好き」と何本も買っていた。

ピザのようで味の異なる独特の料理も

 そしてもうひとつの名物料理が「タルトフランベ」だ。これは薄いパン生地にフロマージュブランというチーズや生クリーム、スパイスを混ぜたソースを敷き、タマネギや刻んだベーコンをのせて焼いたもの。タルトフランベはパリパリと薄い生地に濃厚なソース、チーズの酸味がきいていて、ピザに似ているが味わいはまったく異なる。

タルトフランベ。見た目はピザだが、チーズには酸味がきいており味は異なる。
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