アメリカ海洋大気庁(NOAA)によれば、2019年7月は、地球が史上最も暑かった月だそうである。地球温暖化がもたらす異常な気象が、私たちの生活に大きな影響を与え始めている。

2050年には穀物価格が最大23%上昇

 7月12日の世界気象機関(WMO)の発表によれば、6月以降、シベリアなどの北極圏において記録的高温で乾燥し山火事が多発しているとともに、アメリカやバングラデシュでは洪水となっているという。欧州やインドは熱波に襲われている。

 8月8日には、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が特別報告書を公表したが、世界の陸域の気温は産業革命前よりも1.53℃上昇し、温暖化対策が不十分だと、2050年には穀物価格が平均で7.6%、最大23%上昇するという。温暖化によって、食料の供給に支障を来すからで、飢餓のリスクも高まる。日本でも、今のような美味しい米を生産できなくなる危険性がある。

 熱波は北極圏にも及び、デンマークの自治領・グリーンランドでは、7月だけで、1970億トンの氷床が溶けて大西洋に流れ出たという。7月30日〜8月3日の5日間で、氷床の表面の9割(550億トン)が溶け出した。8月1日に溶けた125億トンという氷河量は、一日の融解量としては過去最大である。溶け出す氷は、グリーンランドの分だけで、2100年までに地球の海面を1メートル押し上げるという。多くの土地が水没するのである。

トランプ氏、グリーンランド取得に興味? 顧問に相談と米紙報道

デンマーク領グリーンランド北西部の村の家屋と氷山(2018年7月13日撮影、資料写真)。(c)MAGNUS KRISTENSEN / Ritzau Scanpix / AFP〔AFPBB News

 その氷が溶けるグリーンランドが、思わぬ国際政治の話題になっている。トランプ大統領が、この世界最大の島・グリーンランドを買いたいと先週言い出したからである。それに対して、デンマークのフレデリクセン首相はこの提案は「馬鹿げている」と一蹴したが、それを不快に思ったトランプは、20日、9月に予定されていたデンマークへの公式訪問を中止してしまった。

 フレデリクセン首相は会見し、この訪問中止に「驚き、遺憾である」と述べたが、あまりにも非常識なトランプの行動に世界は呆れかえっている。トランプは、それに懲りず、フレデリクセン首相の反応を、“nasty(嫌な)”発言と批判している。