2018年10月30日、韓国人の元徴用工4人が新日鉄住金(当時。現・日本製鉄)を訴えていた裁判の上告審で、韓国大法院(最高裁)は、新日鉄住金に損害賠償の支払いを
残り1541文字
だが、韓国側が日本に「対抗」する姿勢を示したのは今回が初めてではない。今年の3月13日、韓国メディアは麻生太郎副総理の「経済報復」発言があった後、韓国政府が即時に対抗を含む対策作りに乗り出した、と報じている。
その前日である3月12日、衆議院財務金融委員会で麻生副総理は、徴用工賠償判決と関連して日本企業の資産の差し押さえが実施される場合は、その対応策として、「関税だけでなく、送金停止、ビザ発行の停止など多様な報復措置があると思う」と発言している。
対抗策を講じても痛手を負うのは韓国
この時、「ソウル新聞」は、「韓国政府が12日、産業通商資源部と外交部など関連省庁の関係者たちからなる非公開会議を開催し、最悪の状況を含めた予想シナリオなどを点検した」、「政府関係者は『日本の経済報復と予想されるすべての報復リストを検討し、韓国も万全の準備をしている』と話した」と伝えている。
「朝鮮日報」も外交部当局者が「万全の準備」をしていると述べたとし、「“万全の準備”と関連して、『具体的な内容を事前に明らかにする必要はない』と(当局者は)述べたが、韓国政府は日本政府の報復措置の際、日本に打撃を与えられる“対抗カード”も検討している」と報じた。
韓国政府の「対抗カード」に関して、韓国メディアが具体的に報じたものは一切ない。しかし、いくつかの対抗策は推察できる。
一つは、日本の食品や加工品に対する規制と審査手続きを強化する方法だ。現在韓国政府は、福島県をはじめとする周辺の13都県で生産される食品について、日本政府が発行した「放射能検査証明書」を提出することを義務付けている。さらに、その他の地域で生産される食品についても、放射能で汚染されていない地域で製造および加工したことを証明する書類の提出を義務付けている。
そのうえ福島県周辺の食品については、書類審査を通過した後、各地の食品医薬品安全庁で二度にわたる放射能審査を受け、これに通過してようやく韓国国内での流通が許可される。もし、日本からの報復措置が行われたら、この審査手続きをさらに強化して日本産食品の韓国輸出に打撃を加えることができる。すべての日本製品に対して、原産地を国名だけでなく、地域名まで表記させる方法も考えられる。福島周辺の地域が原産地と分かれば、放射能汚染に敏感な韓国消費者の警戒心を高めることができるからだ。