今年は違う。そう思っているG党は世の中に多いはずである。巨人が好調だからだ。

 6月19日のオリックスバファローズ戦(東京ドーム)こそ3-4で競り負けたものの、今年の交流戦では5年ぶりとなる優勝の可能性を残している。19日現在で5カード連続勝ち越し中、そして交流戦でもたついている広島東洋カープと入れ替わってセ・リーグ首位の座も僅差ながらキープ。まだまだこの先に大きな波乱がいくつか待ち受けているとは思うが、応援するG党にとっては、何とかこのまま2014年以来のリーグ制覇へ突っ走ってもらいたいところだろう。

巨大補強が「大成功」していないのに快走の理由

 ただ冷静に振り返ってみれば、チームはいつ急降下しても不思議はない状態にあった。昨オフに強行した巨大補強がお世辞にも「大成功」とは呼べない状況に陥ったからである。確かに国内FA権行使で獲得した前広島の丸佳浩外野手は19日現在で打率3割を切ったものの、それなりの活躍で期待に応えていると言えるだろう。

 加えて、勝手知ったるパ球団相手の交流戦になってから徐々にベテランらしい存在感を発揮し始めた前埼玉西武ライオンズ・炭谷銀仁朗捕手もまた、ここに来て評価を上げている。

 だが、まるで安定しないクリスチャン・ビヤヌエバ内野手と、この19日のオリックス戦が故障から復帰直後の登板だったにもかかわらず、いきなり打ち込まれたライアン・クック投手の元メジャーリーガーコンビには、〝ハズレ助っ人臭〟がプンプンと漂っているのが現状だ。

 そしてこの日、古巣オリックス相手にようやく移籍1号を放ったとはいえ早々と二軍落ちも経験している中島宏之内野手や、未だファームで一軍合流予定日の定まらない前シアトル・マリナーズの岩隈久志投手に対しても「一体何のために大枚をはたいて獲ったのか」と疑問視する声が絶えない。

 このパターンだと普通に考えれば、チームは大失速しそうなものだ。巨大補強を経て主力と見込んでいた多くの大物選手たちの当てが外れたのだから、チーム編成はグチャグチャになって今ごろはダッチロールを繰り返していてもおかしくはない。ところが現在の巨人はしっかりとリーグの首位争いを繰り広げ、交流戦でも頂点を十分狙える位置にいる。