5月末に発生した、登校中の子供を狙った「川崎事件」、その川崎事件に触発されて、最悪の形での「再発防止」として実行された「練馬事件」。
ここ2週間ほどの間に発生した2つの事件について、私は欧州で報道を目にし、欧州の友人と意見を交換しながら連載を入稿していますが、いま起きている現象は幾重にもわたって「全く理解できない」と言われます。
その背景の一つとして、日本人の精神構造を特徴づける、精神科医の土井健郎が提案した「甘えの構造」の議論を念頭に置いて前回の原稿を準備しました。
今回はその「甘えの構造」が極めて日本的な特質である、という部分に焦点を当てて検討してみたいと思います。
X世代、Y世代、Z世代
ドイツでこれら2つの事件の話を友人にすると、「それはZ世代の特徴なんじゃないの?」という返事。
Z世代とは1990年以降2005年頃までに生また世代を指す用語です。
物心ついた時にはすでにインターネットが普及しており、家にいながらにして何でもできてしまうのが当たり前という、2019年時点で言えばミドルティーンから29歳までをざっくりと指す、国際的な呼称です。
「違う違う、X世代だ」と応じると、「理解できない」と返されてしまいました。
X世代とは、いま触れた「Z世代」の2つ前のジェネレーションで、1960~75年頃までに生まれた世代です。
つまり44歳から59歳までを指しており、皮肉な偶然ですが、練馬事件の被害者がその最年少にあたっています。
前稿で私が触れた、私自身も属するところのこの世代から「おたく」「ニート」「引きこもり」が出ていると説明すると、何とも理解しがたいという表情をされてしまいました。
X世代以降に生まれた「Y世代」と「Z世代」は、総称して「ミレニアルズ」と呼ばれることがあります。