トランプ米大統領、羽田から帰途へ 両陛下に別れのあいさつ

都内のホテルで天皇、皇后両陛下と別れのあいさつをするドナルド・トランプ米大統領夫妻。宮内庁提供(2019年5月28日撮影)。(c)AFP PHOTO / IMPERIAL HOUSEHOLD AGENCY OF JAPAN〔AFPBB News

 天皇の代が変わり、元号も改まって1か月ほどが経ちました。その間、皆さんはどのような印象を持たれたでしょうか?

 身の回りで雑談する限りですが、新天皇は「軽やかさ」が印象的であるように思われます。この印象を出発点に、天皇制の問題を考えてみたいと思います。

生まれながらの象徴皇族

 即位した徳仁天皇は1960年2月23日に生まれているので、現在59歳、数えで言えば還暦で、かつての日本であれば隠居の年齢です。

 孫たちが庭で遊ぶのを縁側で目を細めて眺めているような年齢ですが、即位したてで「若々しい印象」があります。

 これは一面素晴らしいことで、60代はいうにおよばず、70,80代になっても生き生きと人々が活躍する社会を象徴している面もあるように思います。

 と同時に、60歳が青年に見えるという現在の日本社会の視点が、十分に高齢化しており、かつ少子化と相まって、今後の日本が直面する状況を象徴している面もあると言えるでしょう。

 父にあたる明仁上皇は昭和8年の生まれで、歴代初の「即位当初から象徴であった天皇」として、いわば初代の仕事に誠実に邁進したわけですが、その誕生の時点では、日本は大日本帝国憲法下の体制でした。

 その当時、天皇は現人神であり、その皇子たる明仁親王は「神の子」でした。

 今の日本で、明仁上皇くらい徹底してリベラルな人はいないように思うのですが、それは、生まれてから11歳まで、つまり物心は十分ついている小学校5年生の年配までは「神の子」の扱いで戦争を経験し、戦後、最も多感なティーンの時期に新憲法を迎え入れ、いわば「教科書墨塗り」ならぬ「憲法の墨塗り」を自ら行うような、強烈な経験をしているからだと言っていいでしょう。

 日本国憲法の遵守ということに、明仁上皇が皇太子時代からどれほど心を砕いてきたかは、漏れ聞くところがあり、大変な努力であったと思います。