イスラエル、ガザ空爆で民家攻撃に報復 ハマス指導者事務所を破壊

パレスチナ自治区ガザ市でイスラエル軍が実施した空爆により、ビルから立ち上る炎や黒煙(2019年3月25日撮影)。(c)Mahmud Hams / AFP〔AFPBB News

 今、自衛隊員の派遣先であるエジプト・アラブ共和国を取り巻く国際情勢が、激変している。

 4月9日に行われたイスラエル首相選挙では親米派の最右翼であるネタニアフ首相が続投を決め、これによるシナイ半島に隣接するガザ地区の治安情勢は悪化するであろう。

 パレスチナ難民がガザ地区に幽閉されている状況下ではシナイ半島への影響は否めない。さらにはこのエジプト東部はかって1973年の第4次中東戦争で双方とも大きな痛手を被り米国の仲裁でようやく和平条約まで漕ぎ着けた。

 また反対にリビアと国境を接しているエジプトの西部は、アラブの春以降リビア国内に様々な勢力が割拠し、東方から武装勢力が進軍を始めている。

 エジプトが支援するリビア国民軍はエジプトとの国境から近いトブルクで苦境に立たされている。

 エジプト南部はスーダンとの国境紛争地域ハライブを抱え、4月スーダン軍が30年間統治してきたバシル大統領を解任し、今後のスーダン情勢はさらに予断を許さない。

 このようにエジプトの隣接国3か国とも国内問題、なかんずく治安問題に大きな問題を生じ得ないものと推察する。

 わが国では、安倍晋三総理が積極的平和主義を謳い国際平和活動へのさらなる関与が声高々に表明されながら、2017年5月南スーダンPKO(平和維持活動)から約330人の撤収により現在では南スーダンPKO司令部に4人の隊員を派遣するのみにとどまっている。

 このような状況においても、平和保障関連法成立により諸所制約があるものの国連が統括しない人道復興支援や安全確保などの活動へ道が広がり、エジプト領のシナイ半島駐留多国籍軍監視団への派遣が可能となった。

 安全保障協力法の柱の一つである改正PKO協力法が根拠となるが、もちろんこれまでのPKO派遣5原則*1を満たしたうえで、国際機関の要請があれば自衛隊を派遣できる。

*1=(1)紛争当事者間の停戦合意が成立(2)紛争当事者の受入れ同意(3)中立的立場の厳守(4)以上の条件がいずれも満たされなくなった場合には部隊撤収が可能であること(5)武器使用は必要最小限

 元エジプト防衛駐在官として派遣先のシナイ半島多国籍軍監視団(以下Multinational Force and Observersの略称としてMFOと呼ぶ)を数度の訪問・視察し、つい最近では4月にエジプトに滞在した経験をもって考察したい。

図1 エジプト地図

 エジプトとイスラエルはこれまで4度の戦争を総力戦として厳しい苦い経験をした。

 MFOは1978年、米国のジミー・カーター大統領仲介によるいわゆるキャンプデービット合意において平和条約締結のほか、シナイ半島のエジプトへの返還にも合意した。

 エジプト・イスラエル平和条約付属文書に基づき、国連に条約の履行監視のため部隊派遣が明記されており、エジプトとイスラエルから国連平和維持部軍の派遣要請がなされた。

 シナイ半島には1973年から第2次国連緊急軍(UNEFⅡ)が活動していたものの、平和条約締結に伴って活動を終了した。

 国連はUNEFⅡに替わる活動を1982年からシナイ半島で展開。両国軍の活動状況や停戦を監視している。