中には「宿題は早く終えておかないと不安になって仕方がない」という前倒し派の方もいるかも知れませんが、大半は始業式直前になって、慌てて着手するラストスパート型だったのではないですか。夏休みや冬休みのはじめにある程度手を付けておいて、精神的余裕を手に入れつつ、ラストに一気に仕上げるようなタイプの人でも、休み期間中、遊んでいる間にも頭の中には「ちらり」と宿題の影は付きまとっているものです。

 そう、モチベーションには波があるのです。目標を立てたらガムシャラに頑張り、それを楽しめる行動派は少数派なのです。

 では、ストレスなく着実に目標達成に向けてラクに行動するにはどうすればよいのでしょうか? 実は簡単です。人は性善でも性悪でもなく「性弱」な面があることを前提に目標と行動計画を考えればいいのです。具体的に解説しましょう。

達成目標に「解釈の幅」を持たせる

 目標を設定して「目指す姿」を明確にした上で、行動計画を描く――その年の目標を立てる時に誰でもやりがちなことですが、実はこの時が危険なのです。一番注意が必要と言っても構いません。多くの人はゴールから逆算した「計画値」を書きますが、これが挫折する原因なのです。現実世界は機械仕掛けのように狂いがなく着実に進むものではありません。

 大人気漫画『ONE PIECE』の主人公・ルフィーは「海賊王に俺はなる」というビジョンを掲げていますが、「いつまでに、これをして」という具体的な計画値は設定していません。

 設定したら最後、「目標未達成だ・・・」と挫折しまくり、あの前向きで能天気なルフィーでさえ、長期にモチベーションを保つことは難しいでしょう。未達が重なることで人は挫折を覚え、負け癖がつくからです。

 目標達成のプロセスは、何かしらのイレギュラーやラッキーがあり、デコボコがありながら進むものです。

 ダイエットの場合も同じです。慎重に「停滞期」があることを織り込んだ計画を立てたとしても、予定外や想定外の出来事は発生するのが普通です。ガッツリ食べてしまった。飲んでしまった。体重が増えてしまった――と自己嫌悪に陥るのはむしろ普通です。糖質制限をしていて急に大量に糖質をとり、血糖値が大きく変化すると、また糖質が欲しくてたまらなくなるものです。大会前のボディビルダーや試合前のボクサーじゃないのですから、我慢できなくなるのは仕方がないことです。

「我慢」はいつか限界がきます。まずは「我慢や根性で1年間は乗り切れない」という前提に立ちましょう。

 具体的にはどうすればよいのでしょうか。ポイントは3つ。1つは、「目標に幅を設ける」ことです。「海賊王に俺はなる」なら「いつまで」とか「どうやって」という具合に、解釈にある程度の幅がある状態に設定しておけば、長期にわたってモチベーションは保てます。ダイエットも「2月までにウエストマイナス5cm」のように具体化してしまうと、未達の場合、一発で心が折れてしまいますが、「このスカートが入るまで」に目標設定しておけば、ダイエットの結果がマイナス3cmであっても、パツパツでも例のスカートに身体が入れば挫折しないですみます。それどころか、「もっとラクにはけるように頑張ろう」とモチベーションはさらに高まるはずです。