さまざまなイノベーションやビジネスモデルが社会で産声を上げ、あまたの企業が勃興を繰り返す中、世界からの信頼を勝ち取り、存在感を発揮する企業へと成長していくには、どうしたらよいのだろうか。
1967年にドイツで創業、ヨーロッパにおけるコンサルティング事業の草分けとなり、現在では34カ国50カ所にオフィスを構える世界的なコンサルティングファームとなったローランド・ベルガー。当時29歳でその事業を興し、現在は名誉会長を務めるローランド・ベルガー氏に、インタビューを行った。
ローランド・ベルガーは、組織や人材をどう捉えて世界的な企業に成長できたのか。また、デジタルトランスフォーメーションやオープンイノベーションが叫ばれる中で、日本のイノベーション環境はどうあるべきなのか。それぞれ、ベルガー氏の考えを聞いていく。
実践しないと意味がない
――会社を立ち上げてから半世紀がたちました。これまでを振り返って、コンサルティングという業務の役割と意義をどのように捉えていますか。
ローランド・ベルガー氏(以下敬称略) 私は、コンサルティングには2つの資産があると考えています。
1つ目は、コンサルティングという仕事によって、生涯を通じて学ぶ経験ができるということです。というのも、すべての業界に関わることができますし、業界の中のありとあらゆる機能に接することができます。そして、国際的に活躍をする場が数多くありますので、どんな仕事と比べても、世界に対する知識を深めることができます。
加えて、意思決定を行う人たちと共に仕事をする機会があります。会社の経営陣だけでなく、政治家、さらには公的な組織、政府、国連、EUなどと仕事ができるということも大きいと思います。