1つ目は、科学者や研究者が関わる必要があります。例えば、スタンフォード大学のカリフォルニア校や、ミュンヘンのテクノロジーユニバーシティのような、大学機関などです。
2つ目がベンチャーキャピタルです。ハイリスク・ハイリターンのメンタリティを持つ投資家が、スタートアップには必要です。
3つ目に、スタートアップ側の起業家精神が必要です。リスクを取る備えができている、心づもりができている、日夜働く、と。私も起業した頃はクレイジーなことをたくさんやって不眠不休でしたが、そのようなことができる人たちです。
4つ目は専門家によるサービスです。監査法人や弁護士、経営コンサルタントなどのサービスが提供されることが必要です。
そして、最後はスタートアップ企業間の連携です。また、同じバリューチェーンの中にスタートアップが多ければ多いほど成果も上がるので、連携が重要です。あと、やはりスタートアップだけでなく、大企業でイノベーションが生まれることもありますので、スタートアップと大企業の連携も必要だと思います。
――イノベーションの今後は、どうなっていくのでしょうか。
ベルガー イノベーションを考える上で一番重要なのは、やはり最初の段階からプラスの影響を与える応用方法を選ぶことです。マイナスが出るようなものは、回避していくことが重要だと思っています。というのも、新たなテクノロジーやイノベーションというのは、社会や人々の状態が改善したり、あるいは社会的な構造が改善したりと、人生をプラスに転じさせることができて、初めて価値があるからです。
これからもさまざまな競争は起きると思いますが、コスト削減をするだけの競争よりも、イノベーションによる競争で世の中をプラスに変えていくべきでしょう。
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創業者であるベルガー氏の言葉からは、自社に対してもクライアントに対しても、そこにいる人たちと真摯に向き合ってきたからこそ今のローランド・ベルガーがあるということが伝わってきた。そして、その人々が生み出すイノベーションに関わり、そしてこれからも期待を続けるベルガー氏の思いは、これからの未来を作る私たちに大きな示唆を与えてくれるだろう。