響き始めた槌音と中国の存在感

 日本側関係者が一丸となって鉄道整備を進めるミャンマー。

 しかし、2015年にインドネシアの首都ジャカルタとバンドンを結ぶ高速鉄道建設計画を巡り中国が日本を逆転して受注を勝ち取ったように、世界規模で「鉄道外交」を繰り広げる彼の国の存在感はこの地でも大きい。

 例えば、首都ネピドーにあるMR本社のすぐ傍では中国が機関車工場を建設し、ディーゼルエンジン搭載の電気式機関車を今後15両生産する事業が始まっている。

 また、10月22日には、中国国境の街であるシャン州のムセとマンダレーを結ぶ鉄道整備事業の実行可能性調査に関する覚書も結ばれた。

 これは、中国とミャンマーを結ぶ経済回廊の旗艦プロジェクトの一つ。

 地元紙「7 Day Daily」は11月、この路線を延伸してチャウピュー経済特区とヤンゴンを直接結ぶ計画があると報道した。

 また、9月には中国の昆明からミャンマーやバングラデシュを通ってインドのコルカタに至る高速鉄道を検討中だという在インド・コルカタ中国領事の発表も伝えている。

 こうしたなか、冒頭の式典では、中国という名前こそ出なかったものの、日本のプレゼンスを強調しようという関係者の思惑がひしひしと伝わってきた。

ヤンゴンの環状線。日本の車両をそのまま使っているため「乗降口」の文字が見える