区間ごとに単線運転で列車を通しながらの一大事業だが、改良後は列車の最高速度が時速60キロから100キロに上がり、ヤンゴンからネピドーまでの所要時間が8時間から4時間に、ヤンゴンからマンダレーまでも14時間から8時間に、大幅に短縮される予定だ。

 しかし、この路線の改良に寄せられる期待はそれだけではない。さらに大きな期待が寄せられているのが、コンテナ輸送だという。

 前出の長澤さんは、次のように話し力を込める。

 「アジア開発銀行(ADB)の需要予測によると、今後、旅客は現在の5倍、貨物量は17倍に増えると見込まれている」

 「軌道にかかる重さ(軸重)を現在の13トンから20トンに増やすことで、『重いもの』を『早く』運べるようになるインパクトは大きい」

 このほかにも、日本はミャンマーに対し、ヤンゴン市内を一周する環状線の改良に向けた調査や踏切自動警報装置の設置など、様々な鉄道支援を行ってきた。

 線路の維持管理技術や駅サービスについて伝える場面では、日本からやって来た保線技術者や駅員業務の経験者がミャンマー人の技術者や駅員らと共に汗を流したり、実演して見せたりしながら、丁寧な指導を繰り返した。

 また、今年6月には、ヤンゴン中央駅構内の30カ所以上の信号と80カ所以上の転轍機を無償資金協力で交換するとともに、コンピューターでヤンゴン駅構内の列車などを一元的に管理する鉄道中央監視システムをミャンマー国鉄に引き渡した。

 さらに、ヤンゴン市内の交通緩和を目指し、都市鉄道(東西線および南北線)の新設を見据えた調査も始まっている。

 ゆくゆくはティラワ港で荷揚げされたコンテナをそのまま輸送できるよう、港内に鉄道の引き込み線を敷設することも検討されているという。

日本から寄贈された中央監視システム