ラストフロンティアと呼ばれるミャンマーで、日緬両国が官民挙げて開発を進めるフラッグシッププロジェクト「ティラワSEZ」。その現場で奮闘する挑戦者たちの物語を紹介している。
3回目の今回は新たな保税機能や輸送サービスの提供でソリューションプロバイダーを目指すDAIZEN MYANMAR社長の矢部智昭さんと副社長の矢部尭昭さんが主人公だ。
老舗企業10代目の挑戦
「物心ついた時から、いずれは自分が家業を継ぐのだと思っていました。今から思えば、それがお前の役目なのだとうまく刷り込まれましたね」
こう笑うのは、DAIZEN MYANMAR社長の矢部智昭さんだ。自分の将来が決められていることに反発し、別の道を志そうとしたことはなかったという。
福島県喜多方市の物流会社、大善の10代目。大学を卒業後、経営を実地に学ぼうとコンサルティング企業で3年間勤務し、今は、年子の弟・尭昭さんと共にミャンマーで物流事業に挑んでいる。
ここティラワSEZに開設した倉庫業務のほか、ミャンマー全土を対象とした運送業務、そして国際物流を扱うフォワーディング業務と通関業務が事業の4本柱だ。
本社の大善は、1740年に両替商として創業した後、味噌や醤油、酒造、呉服、鉱山、製糸業、水力発電など、手広く事業を手がけてきた老舗だ。
第2次世界大戦後、農地改革の流れを受けて新規事業の開拓を模索するなか、米どころらしく蔵を活用して物流業に乗り出した。
近年は、北関東と東北エリア向けに営業倉庫を運営しているほか、メーカーから製品の輸送を請け負ったり、スーパーマーケットやホームセンターなどの小売り業者から商品を一括して預かりチェーン店舗にルート配送を行ったりしている。