「さらに軍事技術を向上させ軍事力を強化し、中国、ロシアを打ち破り、台湾と朝鮮を占領、その後パールハーバーを攻撃し米艦を撃沈、極東に進出していた欧州列国を追い払った」

 「その過程にあって、日本は欧米が作ったブループリント(青写真)を闇雲に模倣したわけではない」

 「日本は自らのユニークなアイデンティティを守り、近代日本は科学や近代主義、漠然としたグローバル・コミュニティに忠誠を誓うのではなく、日本という国家、日本人という民族に忠誠を誓うとの堅い決意をしていた」

 「日本は、究極的には日本人のアイデンティティの礎に土着の宗教である神道を堅持したのだ」

 「伝統的な土着神道とは、八百万の神、精霊、怨霊といった土着信仰がごちゃ混ぜになり、各地の村落に建てられた神社仏閣に祀られてきた。ところが19世紀後半から20世紀前半に日本政府は神道を国教とし、国家神道を確立させた」

 「当時の日本のエリートたちは欧州の帝国主義者たちから国家的ナショナリズムや民族に対する近代的概念をみごとに借用し、その概念を日本のナショナリズム、日本人のアイデンティティとして国家神道の枠組みの中に融合させただ」

 「仏教も儒教も武士道も日本という国家への忠誠心を高める要素として使われた。そして国家神道は究極的に現人神(あらひとがみ)である天皇を崇め奉る最高理念として定着したのだ」

 新著は間違いなく邦訳して出版されるだろう。ベストセラーになるだろう。

 だが、その上記の日本に関するくだりは日本では物議をかもすかもしれない。