「1016年オリンピック」を組織してみよう
21世紀の真っただ中に生きているわれわれはどう生きていかねばならないのか――。
著者はこんな質問を読者にぶつける。
「もし1016年にあなたがオリンピックを開催することを命じられたらどうするか」
著者は自ら回答する。
「1016年にオリンピックを開催するなんて、全く不可能だ。第一、アジア人もアフリカ人もヨーロッパ人もアメリカという国家があるなどとは知らない」
「宋は自分と同じような政体を持った国がほかにあるなどとは考えも及ばないはずだ。第一、オリンピックで金メダルを取った選手たちを讃えて高揚する国旗もなければ、演奏する国歌もない」
「国と国とがスポーツにしろ、世界貿易市場にしろ、競い合ううえで必要不可欠なのは強制力をもったグローバルな合意である」
「グローバルな合意は国家間で競い合ううえでも協力するうえでも物事をスムーズに運ぶためのツールなのだ」
「そのことを現在人類が直面するアジェンダに当てはめてみよう。例えば地球温暖化を食い止めるにはどうしたらいいか」
「一国だけがもがいてもどうしようもない。各国が共通のルールを作ってその実現に全力を上げる以外に手立てはない」
「ここ1、2年、地球温暖化を防ぐためのグローバルな協力に水を差している国がある。しかし我々はその実現のために何千歩、何万歩も歩かねばならないのは自明の理だ」