普段から何気なく触れている食材や飲料。それらは、いつ誕生して、どのようにして私たちの食卓へ並ぶようになったのだろうか。そのルーツと歴史、さらには受け継がれてきた技術や作り手の思いといった背景を知ることができたのなら、一段とその食事や飲料を楽しむことができることだろう。頭で理解するだけでなく五感をもって体験できるのであれば、もっと理想的だ。
そのような体験を、たとえばリキュールで味わってみたい。リキュールとは、スピリッツ(蒸留酒)にフルーツやハーブなどで風味を加え、砂糖やシロップで味を整えた混成酒のこと。2018年9月10日、オランダのルーカス・ボルス社のリキュール「ボルス」の世界観を体験できるディナーテラス「HOUSE OF BOLS IN VENIRE GARDEN」が東京・神宮前に期間限定でオープンした(10月19日まで)。
「ボルス」はオランダで生まれた440年の歴史を持つリキュール。今では広く世界中で楽しまれるようになった、その背景を探ってみよう。
オランダ生まれのリキュール、日本との接点は?
「創業当時、オランダは貿易大国で、世界中から高品質なスパイスやフルーツが集まってきました。ルーカス・ボルス社は、オランダ政府から香辛料貿易の独占販売権を得ていたので、それらの高品質な材料を使ってリキュールなどの商品開発を始めました」
そう語るのは、アサヒビール マーケティング本部 副主任の石倉真希(いしくら・まき)氏。ルーカス・ボルス社の創業とリキュールの歴史を、石倉氏が語ってくれた。
ルーカス・ボルス社の創業は1575年。日本では、織田信長が覇権を握った安土桃山時代、ちょうど長篠の戦いのあった年だ。当時のルーカス・ボルス社は、東インド会社の主要株主でもあり、ハーブ、スパイス、フルーツが世界中から集まっていた。