中国の裁判所である福州市中級人民法院が、米マイクロン・テクノロジーに対して、DRAMやNAND型フラッシュメモリ等の生産・販売差し止めを命じた(日経新聞、2018年7月5日)。
台湾UMCは、2018年1月、マイクロンが中国で自社の特許を侵害したとして中国の裁判所に提訴していた。裁判所は、特許侵害の可能性を認め、訴訟が終了するまでマイクロンの半導体メモリの生産・販売の停止を命じた模様である。
マイクロンの売上高に占める中国向け製品は51%にのぼるため、この命令はマイクロンにとっては致命的な痛手である。また、マイクロンは、「技術を盗んでいるのは中国だろう」と思っているはずで、この差し止めには到底納得できないだろう。
本稿では、まず、マイクロンがこの命令に納得できない事情を説明する。その上で、この背景には、米中ハイテク貿易摩擦が関わっていることを明らかにする。米国は、中国に対して2発ビンタをお見舞いした。今回の中国当局によるマイクロンへの不合理な命令は、中国から米国への2発目のビンタであると思われる。
3社が“緩やかな談合”を行っているDRAM業界
2016年以降、半導体メモリ市場が大爆発している(図1)。この原因は、2つある。
出所:日経 xTECHのデータを基に筆者作成(ソースはWSTS)
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