つまり、マイクロンは、中国のDRAMメーカーRuiLiおよびUMCとJHICCに対して、技術流出の容疑で訴訟を起こしていた。

 そのマイクロンが今年(2018年)7月、中国当局から生産・販売の差し止めを命じられたわけである。

 客観的に見て、DRAMの技術力では、マイクロンの方が、RuiLi、UMC、JHICCより数段上回っている。というのはかなり控えめな言い方で、RuiLiやJHICCには、DRAM技術などないに等しい。JHICCに協力しているUMCも、本業はロジックファンドリーであり、DRAMの先端技術があるはずがない。

 そのように、明確な実力差がある中国企業とそれに協力する台湾UMCが、マイクロンを特許侵害で訴えるというのは、明らかに異常であり、噴飯ものである。

 では、なぜ、中国DRAMメーカーとUMCは勝ち目のない訴訟を起こし、中国当局はそれを認めたのだろうか?

原因は米中ハイテク貿易摩擦

 現在、米中が泥沼のハイテク貿易摩擦を起こしている。筆者は、中国当局によるマイクロンへのメモリ生産・販売中止は、中国が米国にお見舞いした2発目のビンタであると思っている。中国は、米国から2発ビンタを張られていた。したがって、中国の沽券にかけて、2発目のビンタをお見舞いしなければならなかったのだ(図4)。

図4 米中ハイテク貿易摩擦の流れ

(1)米国がブロードコムによるクアルコム買収を禁止

 まず、2018年3月12日に米トランプ大統領が、「大統領令」を発令して、ブロードコムによる米クアルコムの買収を禁止した。

 現在のブロードコムは2016年に、シンガポールに本社があるアバゴ・テクノロジーが米ブロードコムを370億ドルで買収した会社である。買収したアバゴより、買収されたブロードコムの方が、会社名のブランド価値が高かったこともあり、ブロードコムと名乗ることになった。