日大アメリカンフットボール部による反則行為、暴力行為に関わる騒動は、内田正人監督や井上奨コーチが辞任をしても、一向に収まる気配がない。
日大の対応に対して、“危機管理”がなっていないとか、最初にボタンを掛け違ったなどの指摘があるが、これらの指摘はまったく的外れである。
スポーツでルールを破って、故意に相手方の選手を傷つけるなどというのは絶対にあってはならないことである。危機管理というのであれば、ルールを守り、汚い手段は用いないというのが大前提である。ばれたら大問題になるようなことをしておきながら、危機管理などしようがないのである。
日大では2年前に危機管理学部が設けられたが、同部への風当たりも強いそうである。『週刊文春』(6月7日号)によれば、同学部の福田弥夫学部長は5月25日、三軒茶屋キャンパスで次のように呼びかけたという。「日本で初めて危機管理を教育する危機管理学部を設立した日本大学が、自ら招いた不祥事への対応が不適切で、危機管理を専門とする教員は一体何をしているのか、といった批判」を浴びていることを述べた後の弁明である。「危機管理学部は日本大学の危機管理を直接担当する部署ではありません」とまず述べている。それはそうだろう。その上で、「今回の問題は、危機管理を学ぶ上で不祥事件に対応する教訓の宝庫です。ただ、皆さんにとっては極めて身近な問題であり、危機でもあります。その危機をどうやって乗り越えていくか、全力で考えてください」と呼びかけたそうだ。
一生懸命なのは分かるが、どうにも頓珍漢である。「教訓の宝庫」と言うが、一体、どんな教訓があると言うのだろうか。