私は高校卒業後、18歳で就職したが、親には何ひとつ相談しなかった。当時の三和銀行(現三菱UFJ)を退職して、共産党衆議院議員の秘書となる際も、妻とは話し合ったが、親にはまったく相談していない。最大の理由は、親には心配をかけたくなかったからである。

 私より1学年上に池永正明というプロ野球選手がいた。投手として甲子園でも優勝し、入団1年目で20勝をあげた。残念ながら八百長問題でプロ野球界から永久追放されるが、当時のナンバー1・ピッチャーだった。この池永投手が下関商業高校から当時の西鉄ライオンズに入団する際、入団交渉を1人でやったことが話題になった。今では考えられないことだが、当時はこれが普通であった。

 私の20歳頃は、1970年安保闘争の時代であった。多くの学生がヘルメットをかぶって、ゲバ棒を持って暴れていたが、親に相談しながら運動していた連中は、もちろんいなかったろう。

 確かに、時代が変ったのだろう。私は中学、高校と野球部に入っていたが、当時、部活に父母会などはなかった。いつ頃から中学や高校の部活に父母会ができたのだろう。ましてや最近は大学の運動部にまで父母会があることを知り、正直、呆れ、驚いてしまった。大学生と言えば、選挙権はあるし、3年生以上は20歳を超えている。まぎれもなく大人である。そこに、本当に父母会が必要なのか。父母会は何をするために存在しているのか。応援だけなら、それぞれが勝手にやれば良いことだ。

 私の孫は小学4年生だが、幼稚園の時からサッカークラブに入っている。練習には、必ずママが同行する。一体、いつまでママが同行するのだろう。これで本当に強い選手が育つのだろうか。心配になってくる。

 もちろん親が一生懸命、自分の子どもを応援するのは当然のことである。私だって、孫のサッカーを応援する。ただ、大学生ともなれば、何か問題が発生すれば、学生自身がまず解決に乗り出すべきであろう。もっと自立してほしいと思う。