請求書の発行は、自分の働いた価値をお客様に請求するのですから、商売における最も大事な部分です。その額面のチェックを自分自身ですることで、自分はこれだけの価値を生んでいるんだという意識を持つことになり、お客様に感謝の気持ちも生まれる、という効果もあります。

ポイントは「セミオート」と「セルフサービス」

 そのほか、定例作業の通知と作業のリマインドの自動化も行いました。給与振込の手続きも人手でやるのは事前の数字確認だけで、あとの給与計算から振込依頼までは自動で行われるようにしました。

 このようにコンピュータに任せた方がいい部分と、人間がすることに意味のある部分をうまく組み合わせて、効率化を図ることが肝要なのです。すべて自動化しようとすると、システム化するのに相当なコストと労力、時間がかかってしまいます。いずれAIが発達すれば可能かもしれませんが、今は人間がやった方が速い処理もまだ多くあります。

 一方で、繰り返し同じことをする部分や、決まったプロセスを間違いなく実行するような処理はコンピュータの方が得意です。そうした部分は積極的にシステム化していくべきです。とはいえ、大袈裟なシステムを作るわけではなく、既存のサービスの組み合わせや応用で実現することから始めると良いでしょう。

 まとめると、バックオフィス効率化を実現する業務ハックのポイントは「セミオート(メーション)」なのです。そして、もう一つのポイントは「セルフサービス」、つまり社員一人ひとりができることは自分で担当するということです。

 これまで経理や総務に専任のスタッフが必要だったのは、請求書を郵送で送るよう物理的な作業は一カ所に集中したほうが効率が良かったことが大きな要因です。加えて手続き自体が煩雑なうえに多少は専門的な知識を求められることもあるでしょう。本業を圧迫してまで個々の社員がやるよりは、分業する方が効率的だったのです。

 しかし、今ではテクノロジーを活用してうまくシステム化しさえすれば、専門的なノウハウを含んだ手間の部分も自動化したうえで、場所を選ばず作業できるようになりました。分業しないで各自が担当したとしても、それほどの負担にはならなくなったのです。

 このように業務ハックでは、ITシステム化一辺倒で考えるのでなく、人の運用や精神論だけで頑張るのでもなく、バランス感覚をもって業務改善を行っていくのが基本です。