ソフトバンク在籍時に孫正義氏の「一発OK」を次々に取り付けた伝説的プレゼンテーターである前田鎌利氏。社内の会議の方法にも改革を起こし、生産性を倍加させて数々のプロジェクトを成功に導いてきた。この3月に上梓した『最高品質の会議術』(ダイヤモンド社)には、前田氏が現場で導き出し、ソフトバンクで効果を実証してきた会議術が体系的にまとめられている。

 前田氏が考える「会議」のこれからとは? 「働き方改革」の議論が進むなか、本当に「生産性」を高める会議の方法を前田氏に語ってもらった。前編、後編の2回にわたってお届けする。(取材・構成:前田 浩弥)

「決めない会議」はやめていい

「働き方改革」の議論が進み、日本企業の生産性の低さを改善しようとする動きが活発になってきました。最小の時間・労力で、いかに大きな成果を生み出すかが、国を挙げての大きなテーマとなっています。

最高品質の会議術』(前田鎌利著、ダイヤモンド社)

 企業の現場でも、「無駄な残業を減らそう」「無駄な外回りを減らそう」と、労働時間や労力を少しでも削減しようという動きが出始めました。その取り組みの中にはもちろん、「無駄な会議時間の削減」も含まれます。会議に費やす時間を減らす企業が増えているのです。

「無駄な会議を減らす」ことに異論はありません。ただ気になるのは、「どの会議の時間も一律に減らす」という短絡的な策を講じる企業が多いことです。「なくす会議はなくす」「重要な会議の時間はそのまま」というメリハリが重要だと、私は考えます。

「なくすべき会議」の最たるもの。それは「決めない会議」です。