今や、あらゆる企業で叫ばれているキーワード「働き方改革」。日本企業のビジネスパーソンが、“時間をかけることがリスクにつながる”“時間あたりのパフォーマンスを最大限に出す”といった意識が常に働いている外資系企業に学ぶ点は数多くある。本稿ではミーティングや会議、そこで行われるプレゼンに的を絞ってみていきたい。まずは生産性を上げる働き方「会議編」である。

 話を聞いたのは、シリコンバレーで日本人を対象にキャリアコンサルティングや英語面接の指導をする伊藤まみ氏。外資系企業で数々の外国人エグゼクティブたちの秘書兼通訳として働いてきた。その経験から、2017年、自著『外資のスーパーエリートが大切にする意外と誰もやっていない「コミュニケーション」の基本』(以下、『「コミュニケーション」の基本』)を上梓。世界で成果を上げ続けるエグゼクティブたちに共通するコミュニケーション術や、効率的な仕事の進め方のヒントを示した。

 会議やミーティングの場で、通訳として外国人と日本人役員の間に立ち、彼らの仕事に対する意識や取り組み方、進め方を間近で客観的に見てきた伊藤氏に、外資系企業と日本企業の働き方の違いを教えてもらった。

 伊藤氏の経験では、「日本人の言いたいことは分かるけれど、これでは外国人は分からないだろうな」と思ったことや、日本人のプレゼンが「だらだらと締まりがない」ように聞こえることが多々あったという。決して日本人がだらけているというわけではない。でも、そう聞こえてしまうというのだ。そのおかげで、外国人役員が「結局、どうしたいの?」と困惑するようなことも。言葉を訳すだけでは通じない、その差は何なのか。

 筆者も実際にシリコンバレー、サンフランシスコで伊藤氏の指導を受けながら、海外スタートアップ企業とのミーティングに臨み、会議の進め方やプレゼン方法により、いかに効率よく仕事が回っていくかを実体験した1人である。

 本稿では、伊藤氏の見てきたスーパーエリートたちが身につけているコミュニケーション方法を基に、効率よく、テンポよく議論し、仕事を進めるポイントを伝授する。前編ではまず、会議のムダをなくすために大切なことを4点挙げてみたい。 

※本稿で「外資系」とは、アメリカ系を指すこととする。