例えば、Excelで顧客管理をしていると、誤ってファイルを削除したのにバックアップがなかった、複数人で更新しているので最新のファイルがどれだかわからなくなった、などの問題が起こります。そんな場合、Googleが提供するSpreadSheetなどのクラウドツールに移行するだけで、自動でバックアップされて、複数人で同時に編集することもできるようになります。

 こんなちょっとしたことでも、ファイルがなくなったり最新版がわからなくなったりするトラブルへの対応時間がなくなります。この改善で得られる時間はわずかでも、積み重なることで複利的に生産性は向上していきます。

 まずは小さく始めることです。そして、継続的に業務改善を続けていくことができれば、ビックバン方式での業務改革よりも大きな効果を上げることができて、止まることなく改善が続いていきます。改善が続くことは大きな価値を産みます。

新しい働き方を実現する「業務ハック」

 私たちのいるIT業界には「ハック」という言葉があります。もともとはコンピュータの「ハッキング」からの言葉ですが、その応用として、様々な場面で行われる気の利いた工夫のことです。「ライフハック」という言葉なら聞いたことのある人もいるのではないでしょうか。ちなみに、ハッキングというと、コンピュータに不正侵入する悪者のイメージがあるかもしれませんが、現在それはクラッキングと呼ばれ、ハッキングと区別されています。ハッカーは正義の味方です。

 業務改善の方法として、大げさな改革ではなく、現場目線で改善すること。それも、便利なツールを組み合わせて、より便利に、より効率よくしていくために、ずっと繰り返しながら改善していく。

 そうした業務改善の方法を、業務をハックすることから「業務ハック」と呼んでいます。次回からは、当社での事例をもとに「業務ハック」の詳細なノウハウを紹介していきます。本連載を通じて業務ハックを知り、みなさんの会社で業務改善を始めるきっかけになれば幸いです。