ソフトバンク在籍時に孫正義氏の「一発OK」を次々に取り付けた伝説的プレゼンテーターである前田鎌利氏。社内の会議の方法にも改革を起こし、生産性を倍加させて数々のプロジェクトを成功に導いてきた。この3月に上梓した『最高品質の会議術』(ダイヤモンド社)には、前田氏が現場で導き出し、ソフトバンクで効果を実証してきた会議術が体系的にまとめられている。

 前田氏は、日本企業の生産性を高めるためには、会議の「質」を高めることが大切だと主張する。前田氏が考える会議の「質」とは何なのだろうか。そして会議の「質」を高めるためには、どのような策を講じればよいのだろうか。前田氏が語る“最高品質の会議術”の後編をお届けする。(取材・構成:前田 浩弥)

◎(前編)「働き方改革で見直される『雑談』の重要性」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53188

日本企業の会議の「質」は20年間変わっていない

最高品質の会議術』(前田鎌利著、ダイヤモンド社)

 生産性を高めるためには、組織的な意思決定スピードを上げなければならない。これは「働き方改革」の議論が始まるずっと前、私が就職した1997年前後から言われていたことです。

 会社という組織に帰属している以上、自分の独断で進められる仕事はそうそうありません。常に「上司の意思決定を仰ぐ」というステップを踏む必要があります。だからこそ、決裁者がいかにスピーディーに意思決定をするかが、仕事の生産性に直結するわけですね。その「意思決定」をする場こそが会議です。会議がうまく回らないと、意思決定もされませんから、物事は何も前に進みません。