足枷は家事・育児だけじゃない!

 イベントでは参加者からの質問も多数寄せられた。その中から「旦那さんに家事や育児をやってもらって悪いなぁという気持ちが生まれるが、男性側はそれをどう受け止めているのか」という問いかけについて、最後にピックアップしたい。

 子どもが生まれる前や、結婚する前には平気で夜中まで仕事をしていたような男性たち。それが、今では子どもに晩御飯食べさせて、子どもをお風呂に入れて・・・。晩御飯を食べ終わっても、次は仕事をする時間ではない。食器を下げたり、洗濯物を片付けたりする時間なのだ。

 そんな状況に対して福地氏は、「もちろん、むちゃくちゃ仕事に時間を費していた頃のことを思うと、正直言って、常に内心穏やかというわけではないんですよね。他にバリバリやっている人と自分とをつい比べて考えてしまうこともあります」と本音を切り出す。

「ただ、それって家事・育児に限った話ではないんですよね。例えばあまり重要でない委員会の仕事が多いだとか、予算が削られたとか、大学の例で言えば、できる学生があっちの研究室に配属されたとか、いろんな形でアンバランスな状況は必ず生まれます。それをどう受け止めて、その上でどうマネジメントするか、という意味では家事育児と同じ。家事育児だけ特別視して、これさえなければ俺は輝けるのに、と考えるのはお勧めしません」と福地氏は言う。

 人生いろんな枷(かせ)がある。そういうときに、家事育児だけを気にするのはおかしいというのが福地氏の持論だ。これは妻側にも言えること。「これさえなければもっとできる」というのは家事育児だけではない。

「そういう、人の心を穏やかにしない原因は、世の中にいっぱいありますよ。家事育児なんてそのごく一部なんです。それどころか、特に育児なんか、やればやるほど我が子の成長を実感できるという、何物にも代えがたい喜びがある。他の枷に比べれば断然楽しめるはずです。生きて、そして働いていれば必然的にさまざまな枷がはめられる。それは受け止めなければいけない。あとはそれらをどうマネジメントするか。永遠の課題ですが」(福地氏)

 今や、女性だけでなく、男性も働き方について模索している時代。家事育児には、家庭の数だけやり方があるといっても過言ではない。そんな中、この記事が少しでも両立を楽しくするためのヒントになれば幸いだ。