曜日シフト性を導入

 一方、夫婦共に大学教員であるという平井家では、それぞれ大学の授業の時間割を調整して曜日シフト性を導入。子どもの迎えや晩御飯を作るといった家事から、子どもの急病への対応、そして保護者会や授業参観といった行事の参加の際にも、「何曜日か」によって参加するのが父親か母親か決まるという。

「基本的に性格は楽天的で、あんまり深く物事を考えずに、“えいや”とやってしまうんですよ」という平井氏は、京都産業大学で初の育児休暇を取得した教員でもある。「そもそも、自分に子どもが授かるなんて人生でそう何度もあるものではないので、育休をとることで貴重な体験ができる機会だろうと思って、とにかく取らないと!と思った」という。

 平井家は子どもの習い事も多く、さらにはPTA役員や町内会の役員もこなしている。「曜日シフト性でなんとか調整していますが、2人とも都合がつかないときなどは、シッターさんにヘルプを頼みます。食材の宅配サービスや家事代行サービスなど、共働き夫婦向けのサービスも活用しています」と、時間捻出のための工夫もいろいろ経験して今に至るという。

職場では制度より空気が理解のカギに

京都産業大学 情報理工学部 准教授 平井重行(ひらい・しげゆき)氏。専門はHCI(特にセンシング技術や信号処理、メディア処理技術)。小学生の頃からプログラミングやピアノ演奏を始め、現在に至る。二児の父親で、1人目の子供が生まれた時に半年ほど育休取得。妻と家事等分担しつつ家庭と仕事の両立に勤しむ。妻も他大学の教員。

 平井氏は男性教員で育児休暇取得が初の事例ということもあり、学内中でそれが知れ渡っている状況だそうだ。

「そういうことをする人間だというのを分かってもらっている。それをいい顔をしない人も中にはいるかもしれないが、そういうことを言い出させない空気は作ったかな、と思っています。育休を取るときには、先に根回しをしたんですよ。協力的なことを言いそうな教職員たちに先に言って、反対しそうな人を少数派に持っていった。すると、たとえ反対意見が出ても、まぁいいんじゃない、と周りの人から言ってもらえたんです」(平井氏)

 このように「周りの空気を作る」ことに注力してきたという平井氏。

「男性も家事や育児をやるんだ、という空気を作るのが大事ですよね。女性が男性に言ってもあまり広がらないかもしれないので、男性から男女両方へ向けての意見として挙げることも大事ではないかと思っています」(平井氏)