本当に称賛すべきは何なのか。

「結果よりもプロセス(過程)をほめる」ことがビジネス書ではよく推奨されているようだ。子育てでも同様のことを書いてある本が多い。

 他方、プロセスをほめてもつけあがることがある、とする懸念の声もある。頑張っているプロセスをほめたら「結果が出なくても頑張りさえすれば許され、評価される」という「頑張り無罪」現象が起きてしまうというわけだ。

 実は筆者もこの経験がある。不器用なりに頑張っているのをほめていたら、不器用な頑張りだけを漫然と続けるようになり、結果が出なくても平気になってしまった。これではビジネスの場面では(子育ての場面でも)弱ってしまう。

 筆者は、「結果ではなくプロセスをほめよう」というのはミスリーディングだと考えている。プロセスをほめて「頑張り無罪」になってしまうのは、「頑張っているように見せている」という外面をほめてしまったからだ。こうなると、外面だけ頑張っているように取り繕えば、結果が出なくても許される、と感じられてしまっても仕方ない。

工夫・努力・苦労に驚き、面白がる

 筆者は、「工夫・努力・苦労に驚き、面白がる」とよいと考えている。プロセスではなく内面、つまり心の中で起きたことに目を向けるようにしている。

 特に「工夫」に着目している。もちろん努力や苦労に驚嘆し、面白がりはする。「これだけの量、よくやったね。途中で疲れなかった?」。最後のフレーズが大事。内面に起きたことを見る姿勢。その上で工夫を促す。

「これだけ頑張っているのに結果が出ないと、悔しいね。何かよい工夫はないかな?」と問いかけ、「こうした方がよかったかな・・・」と工夫の一端を述べたら「お、いいね。他にもあるかな?」と工夫を促す。「そう言えば、こんなことも聞いたことがあるよ」とヒントを出したり(正解をズバリ言わない)。「なるほど、じゃあ、こうしてみようかな・・・」と言い出したら「いいんじゃないかな、それ! やってみてどうなったか、教えてね」と行動を促す。