ITフリーランスを取り巻く情勢は。

 働き方の多様化が求められると同時に、終身雇用の崩壊が叫ばれる中、「フリーランス」に注目が集まっている。経済産業省は「雇用関係によらない働き方」と題して研究会を行い、2017年3月には報告書を発表した。

 ただし一口に「フリーランス」といっても、形態はさまざまだ。他に本業を持つ副業・兼業タイプの人もいれば、本業でプロフェッショナルとして活動する人もいる。そのようなフリーランスを活用し、またフリーランスが社会で活躍できるためには、どうしたらよいのだろうか。

 ITエンジニア分野のフリーランス人材支援に取り組んできた、ギークス 執行役員 IT人材事業本部長の小幡千尋氏に、IT分野を例として、フリーランスが置かれている現状や課題、必要な対策など今後について語ってもらった。

フリーランスという働き方の広がりは

――そもそもフリーランスとは、どのような立場なのでしょうか。

ギークス 執行役員 IT人材事業本部長の小幡千尋(おばた・ちひろ)氏。早稲田大学卒業後、総合商社、大学生のキャリア支援を行うベンチャー企業、PRマーケティング会社を経て、2009年よりギークスに参画。企業コンサルキャリア支援事業やイベントスペース「21cafe」を立ち上げ、次世代型エンジニア採用プログラム「geechs camp」を企画・スタートさせた。2016年より現職。また、2008年4月から現在まで、中央大学商学部特別講師として、キャリア教育分野の授業を担当している。

小幡千尋氏(以下、敬称略) 一般的には、企業や組織に属さず、自分自身の経験やスキルを提供することで報酬を得ている、自立した個人事業主となります。

――フリーランスという働き方を選ぶのは、やはり自由が大きな魅力なのでしょうか。

小幡 ITの世界では、時間や組織に縛られないということ以上に、自分自身のスキルアップのために時間を使えるという意味合いが強いかと思います。

 自分自身のキャリアアップのために「こういう現場で働きたい」とか「こういった技術を磨きたい」など、明確な目的を持ってフリーランスの登録に来られる方が多いという印象です。