――日本におけるフリーランスは、どのように広まってきたのでしょうか。

小幡 日本で、フリーランスが広まったタイミングは、3つあったと思っています。

 まず1つ目は、2008年のリーマンショックのときです。その頃は、大手のIT企業などで40~50代の方がリストラされ、やむなくフリーランスになったという方が増えた時期でした。「大手企業に入れば安泰」という神話が崩れ、自分自身でキャリアを磨かないといけないという意識が社会的に広がっていきました。

 2つ目が2012年頃です。その頃は、ノマドワーカーやクラウドソーシングといった言葉が広がり、特定の組織に属さない新しい働き方ということで魅力付けされた時期かと思います。「新しい技術に強い」「新しい技術を知りたい」という20代の若手がフリーランスに興味を持ち始めた時期です。

 3つ目は、まさに昨年(2017年)から今年(2018年)にかけて、働き方改革の中で「フリーランスを活用しよう」という声が出てきたことです。企業側も自社の社員だけではなくて、外部の人材もうまく活用しながら、戦略的に製品やサービスの開発を進めていこうという姿勢になってきました。

――海外での広がりはどうだったのでしょうか。

小幡 アメリカでは非常に多く、2000年前半の時点で労働者の3分の1がフリーランスといわれていました。2020年には50%がフリーランスになるのではないかという予測もあります。

 アジア諸国でもフリーランスが増加しています。インドネシア、インドなどでは、平均賃金の10倍以上もの報酬を得ているフリーランスがいるとも言われています。

――他の分野のフリーランスと比較して、IT分野のフリーランスの特徴は何でしょうか。

小幡 社会的にエンジニア不足が叫ばれていますので、ニーズがすごく高いことと、これからも増え続けるだろうということです。今後もマーケットは大きくなっていくという期待はあります。

 これからの社会は、スキルを評価されていく世の中になっていくと思っていますし、その流れにフリーランスという働き方はマッチしていると思います。