中期経営計画を発表するファンケルの島田和幸社長兼CEO

 化粧品メーカーのファンケルが積極的に働き方改革を打ち出している。キーワードはずばり、「人への投資は先手必勝」である。

 まず打ち出したのが、契約社員の正社員化だ。

契約社員全員を正社員化

 4月から日本全国に約200店舗ある直営店で働く契約社員約1000人を「地域限定正社員」とし、契約社員の雇用区分は廃止する。

 正社員化により契約期間が無期限となり、これまで1年ごとに契約更新が必要だったのが不要になるほか、待遇も大幅に改善する。

 例えば賞与の場合、2017年の実績で平均1.9か月だったのが平均2.7か月へ0.8か月分上乗せされる。また、年間の休日も113日から120日に増える。

 島田和幸社長兼CEO(最高経営責任者)は「かなりのコストアップになるが人材への投資は最優先。優れた人材の確保に躊躇はしていられない」と話す。

 5年を超えて働く契約社員の場合には契約期間を無期限にしなければならないという法改正が背景にあるものの、「法律を守るのではなく、さらにその先の先を行く改革を目指した」(人事部の熊谷洋介・人事企画グループ課長)。

 もちろん社員は喜んでいる。銀座店で働く30代の女性契約社員は「いずれ正社員になりたいと思っていましたが、こんなに早くなることができて嬉しい」と話す。

 今回、「地域限定」という限定をつけたのにも理由がある。本社や工場などで働く正社員と同じ雇用区分にすると、人事の公平性から異動もあり得る。