長谷川:今は、光冨先生や学会からたくさんのチャンスをいただいているような感覚です。それらを活かせるように努力していきたいです。

「患者さんも学会にどんどん来て勉強してほしい」「意見があったら言ってほしい」と言っていただいています。実際に、次回の学会にもトラベルグラントを活用してたくさんの患者が参加できるようになっています。そのような活動を学会が行なっていることを、多くの人に知ってもらいたいですね。

 医療や肺がん治療、そして自分の人生に向き合っていけるような、その土壌を作っていきたい。それが私たちに課せられていることだと思っています。

光冨:長谷川さんの活動を広げてもらいたいですね。今のところ、私の出身地である九州には、日本肺がん患者連絡会に加入している患者会はありません。絶対ニーズはあると思うので、それぞれの地域でのリーダーができていけばいいなと思います。

 また、現在は医療に関する様々な間違った情報が流れている中で、今から患者になるかもしれない人にも「正しい情報を見極める視点」を広げていかなければいけないと感じています。長谷川さんとは、これからもパートナーとして、ともに活動を続けていきたいですね。

――医療は進歩していきますが、同時に様々な問題も明らかになっています。今回は、全2回のインタビューを通し、患者会と学会が協力して行なっている活動とその成果、そして医療の現状や問題点についてお話いただきました。

 日本の医療をよくしていくために私たちに何ができるのかを、多くの人に考えていただくきっかけになったのではないかと思います。本日はありがとうございました!

光冨 徹哉
近畿大学医学部 外科学講座 呼吸器外科部門 主任教授/日本肺癌学会 理事長

1980年九州大学医学部卒。1986年九州大学大学院医学研究科修了、医学博士。1988年九州大学医学部第二外科助手。1989年米国国立癌研究所にて肺癌の分子生物学的研究に従事。1991年、産業医科大学第二外科講師、九州大学第二外科助教授を経て、1995年愛知県がんセンター胸部外科部長、2006年同副院長、2012年近畿大学医学部外科学講座呼吸器外科部門主任教授。肺癌の外科的治療を専門とするほか分子標的治療にも造詣が深い。日本肺癌学会理事長、日本呼吸器外科学会、日本臨床腫瘍学会各理事。2017年10月からは世界肺癌学会の理事長。

長谷川 一男
日本肺がん患者連絡会代表・NPO法人肺がん患者の会ワンステップ代表

神奈川県在住。46歳。肺がん。ステージ4。2010年に発症し、現在7年目。ワンステップが大切にしていることは「仲間を作る」と「知って考える」2ヶ月に1回のペースでおしゃべり会開催。HPとブログにて、様々なテーマで情報発信している。全国11の肺がん患者会が集まった「日本肺がん患者連絡会」所属・代表。2016年4月、NHK ETV特集でその闘病生活が放送された。世界肺癌学会にてペイシェントアドボカシーワード2016受賞。日本肺癌学会ガイドライン外部委員。

柳澤 昭浩
日本肺癌学会Chief Marketing Adviser/がん情報サイト「オンコロ」コンテンツ・マネージャー

18年間の外資系製薬会社勤務後、2007年1月より10期10年間に渡りNPO法人キャンサーネットジャパン理事(事務局長は8期)を務める。先入観にとらわれない科学的根拠に基づくがん医療、がん疾患啓発に取り組む。2015年4月からは、がん医療に関わる様々なステークホルダーと連携するため、がん情報サイト「オンコロ」のコンテンツ・マネージャー、日本肺癌学会チーフ・マーケティング・アドバイザー、株式会社クリニカル・トライアル、株式会社クロエのマーケティングアドバイザー、メディカル・モバイル・コミュニケーションズ合同会社の代表社員などを務める。

*本稿は、がん患者さん・ご家族、がん医療に関わる全ての方に対して、がんの臨床試験(治験)・臨床研究を含む有益ながん医療情報を一般の方々にもわかるような形で発信する情報サイト「オンコロ」の提供記事です。