電子患者日誌は、Symptom Tracking and Reporting(STAR)というシステムを使用。これは、主な12症状(食欲不振、吐き気、嘔吐、咳、呼吸困難、疲労、痛み、下痢、便秘、排尿障害、末梢神経障害、ホットフラッシュ)をCTCAE(有害事象共通用語規準)に基づいて、患者自身が5段階(グレード0「症状なし」~グレード4「何もできない」)で評価できるように開発されたシステムである。また、患者が正確に回答しやすいように、各種の選択肢の横には短い説明が記載されていた。

 電子日誌群に割り付けられた患者は、研究参加時に非臨床研究スタッフにより使用方法の指導を受け、ベースラインの入力を行った。また、受診時には、臨床研究スタッフによりタブレットまたはキオスク端末への電子患者日誌の入力を促された。コンピューター未経験の参加者は、診療時にのみSTARを使用して自己報告するように求められた。コンピューター経験のあるサブグループの参加者は、STARへのリモートアクセス権が与えられ、1週に1回、入力のためのリマインドメールがされたものの、訪問間のレポートは必須ではなかった。

 患者が報告した症状が2グレード以上悪化、またはグレード3以上になった場合、看護師にアラートメールが通知され、症状に応じて電話にて症状管理のカウンセリング、支持療法、化学療法の用量変更等の相談を受けることができた。また、営業時間外は看護師にアラートメールが通知されないため、STARにより、これらの症状が認められた場合、医療機関は電話するように促された。

 一方、受診時に外来時の待合室等で患者電子日誌に入力した結果によっては、診療時間前に専門チームにより緊急往診することもできた。また、患者が入力したレポートは、各診療時に医師や看護師の診療のために印刷された。ただし、医師や看護師は、アラートやレポートに対してどのような措置を講じるべきかについて、具体的な指針は与えられなかった。

 未使用群は、診療中に症状について訴えたり、予定診療日以外にも心配な症状が認められた場合には診察を受けるように推奨された。

 これらの参加者は、がん治療の中止、患者の研究への参加撤回、ホスピスケアへの移行および死亡まで継続した。