7月3日、ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)が開催したネットワーキング・ナイトで講演する正林和也さん

 脳梗塞は、脳血管に血栓がつまり血流が阻害され、脳に酸素や栄養が行き届かなくなって、自律的な機能に支障をきたす病気。発症してから間もない急性期の脳梗塞治療は一刻を争う。

 一般的には、半身不随などの身体麻痺になり、リハビリや回復に専念する姿を思い浮かべるのではないだろうか。突然襲いかかるこの病気により、毎年約6万5000人が命を落としている。

 脳梗塞の治療デバイス開発は、世界の医療機器メーカーが最先端の技術力でしのぎを削る。その中で、国内の医療機器ベンチャーが頭角を現した。

 慶應義塾大学を卒業した兄弟、正林康宏さん(34歳)と正林和也さん(31歳)が2人で4年前に起業したバイオメディカルソリューションズだ。

 従来品では困難だった末梢血管に詰まった血栓を除去する治療デバイスを開発している。弟の和也さんと開発早期から資金面と事業構想のアドバイスしてきたメドベンチャーパートナーズ社長の大下創さん(48歳)に話を聞いた。

兄弟2人で起業した背景

 バイオメディカルソリューションズの基盤技術は、兄の康宏さんが慶應義塾大学理工学部に在籍していた時代から10年以上にわたる研究に基づいている。

 康宏さんは学生時代から、恩師の谷下一夫先生(慶應義塾大学名誉教授)の研究室でステントの構造設計・構造解析の研究をしていた。

 そこでの研究成果が認められ、2010年に渡米し、UCLAでステントの研究開発、現地の医療機器ベンチャー企業で頭蓋内ステントの製品開発に携わった。