林社長による2016年年始の書き初め。「メニエール病治療」と「人工気管開発」は治験を伴う開発案件。

 「目は心の窓」。健康についても同じことが言え、目を見れば発見できる病気は少なくない。今回は、患者の眼球運動を画像解析して、脳梗塞などの病気を診断するプログラム医療機器を開発した第一医科(東京都文京区)を紹介したい。

 同社の耳鼻咽喉科向けの製品が並ぶショールームを見渡す会議室で、世界初に挑む狙いを林正晃社長に聞いた。

 第一医科は、耳、鼻、喉の領域に特化した創業60年の医療機器メーカー。

 2代目社長の林正晃(46歳)は代替わりして以来、医工連携という医療現場のニーズを吸い上げ、医療機関やものづくり企業との連携によって製品化を目指す事業に力を入れてきた。眼球運動で病気の検査をするプログラム開発も医工連携プロジェクトの1つだ。

眼球運動から病気を診断するプログラムを共同開発

 第一医科が、この7月に発売を予定している眼球運動検査装置用プログラム「yVOG(ワイボーグ)」は、「めまい」を検知するソフトである。

林社長。第一医科のショールーム隣の会議室で。

 画像処理システムを開発する山口県のベンチャー企業のYOODS(ユーズ)と長年にわたり眼球運動を研究している山口大学との共同開発品となる。

 診断するのは「めまい」が起きる病気。

 めまいでふらつくと目にも症状が現れ、目が左右または上下に小刻みに震えるなど通常ではない動きをする。この動きををとらえるのだ。

 例えば、サッカー日本女子代表キャプテンを務めた澤穂希さんが発症したことで、一時話題になった「頭位めまい症」(良性発作性頭位めまい症)がある。

 これは、頭を強く打ったときや、寝ている状態から体を起こしたときなど、頭の位置や向きを大きく変えることでめまいが起きる病気。「yVOG」は、こうした病気を診断するプログラムだ。