Basch氏は、「診療外の在宅時において、患者は問題が深刻になるまで医療機関への電話をためらっていることが多く、また、受診時のおいても、患者と医師や看護師との間で症状について完全に伝達さないこともしばしば起こる」と述べている。「そこで、我々は、オンラインシステムを活用して、患者自分が症状を報告することは、早期に医師からの介入を促し、結果、症状コントロールや下流の医療の改善を促すだろうと仮定した」と述べた。

 さらに、Basch氏は、この研究の成功の3つの要因として、「患者がより長期間化学療法を継続できるように、副作用のより良い管理が可能になること」、「症状が現れたときに担当医にリアルタイムで警告し、早期に対処可能とすることで、問題となる合併症が併発する前に管理するように促すことで、よりよいケアが得られたこと」、「症状をコントロールすることにより、患者がよりフィジカルを保ち、体調不良や寝たきりを避けることができたこと」をあげた。

 現在、今回の結果を確認するために、全米の大規模臨床試験を実施中であり、この研究にはリニューアルされた最新のオンラインツールを使用しているとのことである。

 ASCO ExpertのHarold J. Burstein氏は「オンライン技術は、私たちの生活のあらゆる面においてコミュニケーションを変えてきた。患者の治療への積極的な参加を促す役割や、介護者の速やかなアクセスの助けを担う。このシンプルな仕組みは、生活の質を改善するだけでなく、今回の研究結果では、患者がより長く生きるのに役立つということは印象的である。間もなく、このモデルを採用するがんセンターや研究が増えていくだろう」と述べた。

日本のがん医療をIoTが変えるか?

 去年ASCOにて発表されたMOOVCAREに引き続き、STARの生存期間延長の発表であった。

 大きく異なるのは症例数で、圧倒的に今回の発表の方が多い(他にも実施国がフランスと米国という差がある)。

 ただし、この研究は単施設の臨床研究となり、メモリアル・スローン・ケタリングセンターだからこその結果である可能性がある。このような研究はチーム医療が肝心であるため、医療機関バイアスはかかりやすい。また、アプリのユーザビリティにも左右されるであろう。