本研究に参加した73%が電子患者日誌を完遂し、研究中に合計84,212の個々の症状が患者より報告され、このうち1.7%が重度またはグレード3または4であった。報告された最も一般的な症状は、疲労、痛み、食欲不振、呼吸困難、神経障害および吐き気であった。アラートの77%に対して看護介入が行われ、その中には支持療法の開始・変更(12%)、緊急室(ER)の紹介(8%)、化学療法の用量変更(2%)、画像検査・血液検査のオーダー(2%)が含まれた。

生活の質を改善 化学療法の継続期間も2か月延長 2016年にJournal Clinical Oncologyで発表

 本研究の主要評価項目は、ベースラインと比較した6カ月後の健康関連の生活の質(HQOL、以降、生活の質とする)の変化であった。生活の質は、EuroQol EQ-5D Indexで数値化された。

 結果、ベースラインと比べ生活の質が改善した方の割合は電子患者日誌群34%、未使用群18%、生活の質が悪化した方の割合は電子患者日誌群36%、未使用群53%と有意に差が認められた(p<0.001)。その他、ERへの受診頻度は電子患者日誌群34%、未使用群41%であり、電子患者日誌群で7ポイント低かった(P=0.02)。また、電子患者日誌群では化学療法を継続している期間が約2か月長く、統計学的に有意であった(電子患者日誌群8.2か月、未使用群6.3か月、P=0.002)。

ITヘルスケア導入で生存期間が約5か月延長 ASCO2017 & JAMA

 今回のASCOでは2016年6月に解析された全生存期間(OS)が発表された。追跡期間の中央値は7年で、この間に67%(517/776名)が死亡した。

 結果、電子患者日誌群の全生存期間中央値は31.2か月、未使用群中央値は26.0か月となり、約5か月間延長した。死亡リスクは17.78%減少し、統計学的に有意であった(HR0.832; 95%CI 0.695-0.995; p=0.03)。5年生存率は、電子患者日誌群で41%、未使用群で33%となり、8ポイント高かった。