背景にある、「チームワーク」の変容

 またイギリスのチャリティー団体、Charities Aid Foundation は寄付、ボランティア、支援の3つの指数からなる「世界寄付指数」を発表しているが、2014年の指数を見ると日本は135カ国中、90位と低い。とくに「支援」(見知らぬ人や、支援を必要としているだれかを助けたか?) の指数では134位と、カンボジアに次ぐワースト2位である。

 こうしてみると、「日本人はチームワークが得意だ」とか「連帯感がある」というのはもはや「神話」にすぎないようだ。

 そして近年、大型プロジェクトや大規模なイノベーションなどでは欧米に太刀打ちできなくなっている。

 背後にあるのは、求められるチームワークの変化である。前回述べた個人の仕事と同様、チームワークにもIT化やソフト化が大きく影響しているのだ。

 日本人がこれまで得意としてきたのは、似通った経験、能力、価値観をもつ「同じ釜の飯を食う」仲間同士が力を合わせてがんばる同質的で受け身(言い換えれば運命的)のチームワークである。

 ところがITによって定型的な仕事や受け身の仕事は著しく減少した。そしてソフトの世界では、優れた知識やノウハウは一瞬にしてコピーできるようになった。その結果、同じような知識やノウハウを持つ人はたくさんいらなくなったのである。

 逆に多様な知識、能力、価値観をもつメンバーがそれぞれの強みや専門性を生かして貢献する、プロジェクト方式のチームワークが急速に比重を増している。情報系、ソフト系の企業やベンチャー型の企業のなかには、ほとんどの仕事をこうしたプロジェクト方式で行っているところもある。