結婚してからは穏やかに過ごす事が多くなりましたが、クリスマスは鬼門の1つでした。

 思い起こせば、予定のない男友達数人と深夜喫茶でなぜかパフェを食べた大学時代。社会人になってからも、ワクワクする予定を組んでいながらインフルエンザで寝込んでしまい・・・。

 この時期が来ると、なぜかそのころの悪夢の数々を思い出してしまいます。クリスマスがかなりトラウマになっていることは、間違いないようです・・・。

 そしてこちらにも、不幸なクリスマスを過ごしそうな男性がひとり。

クリスマスを前に難事件が続発!

クリスマスのフロスト』(R・D・ウィングフィールド著、芹澤恵訳、東京創元社刊)

『クリスマスのフロスト』 R・D・ウィングフィールド著、東京創元社、税別940円

 舞台は、ロンドンから70マイル離れたひなびた田舎町のデントン。クリスマスを10日後に控えたある日を境に、この町に突如、さまざまな難問が降りかかります。

 日曜学校の帰りに姿を消した、8歳の少女。

 その少女の捜索過程で、姿を現したエレクトロニクス工場連続盗難事件の犯人。

 さらに銀行強盗が発生したと思ったら、郊外の谷では32年前の銀行員行方不明事件の遺体が発見され・・・。

 これでもか、と言うほど、ノンストップに起こる事件とスピード感溢れる展開が、本作の見どころのひとつ。また、それぞれの事件の伏線が微妙にリンクし合い、集束していく無理のない構成は、小さい町の狭い人間関係で展開される物語に、リアル感を持たせています。そして、何と言っても魅了されるのが、その人物造詣の妙。

 主人公は、ジョージ十字勲章を受けたこともある名物刑事で、事件を呼び寄せてしまうジャック・フロスト警部。そして彼を取り巻く、警察署長の甥でフロストに振り回される若きクライヴ巡査部長、そして出世欲の塊でフロストの天敵のマレット署長・・・。それぞれ一癖のある登場人物たちにより、シリアスになりがちな物語が、コメディの要素を含むことで、読みやすくまとめられているのです。