長時間労働に対する社会的な関心の高まりや、国による残業時間の上限規制の議論を受けて、企業は残業時間削減への取り組みが急務になってきている。
残業時間削減のために「業務量削減のための改善活動」や「20時以降残業禁止、ノー残業デーなどの残業規制」などに取組んでいる企業は多い。これらは確かに残業時間の削減に有効な取り組みである。だが、大きな成果を出すには、まず自社の残業実態および残業要因を正しく把握した上で適切な対策をとる必要がある。
【1】 残業実態を把握する
最初に行うべきなのは、自社の残業実態を正しく把握することだ。なぜなら、残業実態によって、残業時間削減に有効な対策が異なるからである。
例えば、部門全員の残業が多い場合は、部門の業務量を削減する改善活動が有効だが、特定の個人のみ残業が多い場合は、その個人が担当している業務の効率化や分担変更を図る必要がある。また、慢性的に残業が多い場合は、業務量を削減する改善活動が有効だが、月末月初だけ残業が多い場合は、その時期に実施している業務を効率化したり実施タイミングをずらす必要がある。
このように残業実態によってとるべき対策が変わってくるため、単に「残業時間が多い」という平均の現象だけを捉えていては効果的な対策を取れない。