主な残業要因は以下の5つに集約されるが、残業要因はどれか1つというより、複数の要因が組み合わさっていることが一般的である。

(1)要員数に対して業務量が多すぎる

 職場の業務項目を洗い出して業務量を積み上げたところ要員数に対して多すぎる場合は、業務量と要員数の適正化を図っていく必要がある。具体的には、まず有効性の低い業務の廃止・簡素化や、業務のやり方の見直しによって業務量削減を図っていく。それでも、まだ業務量が多すぎる場合は増員を検討する必要がある。

(2)各業務に、本来できる時間以上に時間がかかっている

 業務量としては多くないが、本来できる時間(基準時間)よりも余計に時間がかかっていると残業になる。主な原因は、スキル不足、手戻り、間延びした仕事の進め方などである。間延びした仕事の進め方とは、「今日は時間に余裕があるからゆっくり仕事をしよう」といった、時間あたりの生産性を意識しない仕事の進め方のことだ。ホワイトカラーの職場では基準時間が設定されていないことが多く、間延びした仕事の進め方によるムダが多い。そのため「この業務は何時間でやる」といった、時間を意識した仕事の進め方に変えていくことで残業削減を図っていく。

(3)業務の実施タイミングが悪い

 業務量は多くないが、業務の実施タイミングが悪いと残業になる。例えば、定刻の終業時の直前に急に業務を依頼されたケースや、当日対応する必要のない業務まで当日対応したために残業が発生したケースである。対策としては、受付時間を設定したり、担当者に直接依頼しないように受付ルートを設定したり、業務を受ける際に納期を確認するなどして、業務の発生タイミングや実施タイミングの適正化を図っていく。

(4)特定個人への業務負荷集中

 管理職の残業が多い場合は、プレイヤーとして業務を抱えすぎているケースが多い。残業が多い管理職はもっと部下に任せて、業務移管していく必要がある。また、管理職が遅くまで残業していることにより、帰りづらい雰囲気を作り、“付き合い残業”が発生している可能性もある。管理職は自ら率先して早く帰る姿勢を部下に示すことが求められる。