一方、担当者の残業が多い場合は、属人化が原因なことが多い。そこで、属人化を解消し、分担変更を図っていく必要がある。また、いわゆる「デキル担当者」に業務が集中し残業が発生しているケースもある。その場合は、管理職が担当者の業務量をコントロールしていく必要がある。

(5)特定時期(日・曜日・月)の業務負荷集中

 特定の日、曜日、月に残業時間が集中している場合は、その時期に実施している業務を効率化したり、実施タイミングをずらす必要がある。対策を実施しても業務負荷が集中して残業が発生する場合は、そのタイミングのみ増員したり、他部門から応援してもらうことを検討する必要がある。

残業削減の真の目的は?

 残業削減は、従来はコスト削減が主な目的であったが、現在はコストをかけでも行うものになっており、目的が変化してきている。現在、社員の健康増進やワークライフバランス確保など、企業は様々なお題目で取り組んでいるが、本来、目指すべきなのは「時間あたり生産性の向上」「採用競争力向上・離職率低下による社員の確保」「顧客や取引先からの信頼の維持・向上」である。

 つまり、「企業競争力の維持・向上」が真の目的であることを忘れてはならない。単なるコスト削減や福利厚生、社会要請に応えるために取り組むのではなく、“儲ける”ための経営戦略として取り組むべきなのだ。

 残業時間削減の取り組みは、生活残業をしている社員やもっと働きたいというモーレツ社員からの抵抗も多い。そのため、何のために残業削減を行うのか取り組みの目的を明確にし、社員に理解させることが、取組初期の段階で何よりも大切である。