ジャズ系ギタリストによる「アメリカーナ」的な注目作品を紹介します(写真はイメージ)

 1990年代中盤頃のことでしょうか。帰国子女の友人に連れていってもらう形で、よくサンフランシスコに遊びに行っていました。行くたびにその友人の現地の友人宅に居候させてもらっていたのですが、ある日、「いま自分がやってるレーベルでレコーディングしてるバンドのライブがあるから観に行こう!」と誘われて観に行きました。

 その友人の話によると、昼間は弁護士や会計士などの仕事をしていて夜になるとナイトクラブで演奏するローカルバンドだとのことです。白髪を短く刈り揃えた髪型やスーツ姿など、メンバーはどことなく上品なルックスでした。

 バンドのリーダー兼ギタリストは昼間は楽器店やスタジオで仕事をしているとのことなのですが、そのギタープレイは見たことも聴いたこともないもので、あまりに衝撃的かつ魅力的だったので、本当にビックリしてしまいました。

本コラムは音楽レビューサイト「Mikiki」とのコラボレーション記事です

 私事で恐縮ですが、私は高校に入学したときブルース・スプリングスティーンとローリング・ストーンズのキース・リチャーズが大好きだったので、彼らが弾いていた木目のフェンダー・テレキャスターというギターを買ってロックバンドを組み、高校時代にずっとバンド活動をしていました。

 サンフランシスコのステージに立っていた男もテレキャスターを持っていました。けれども、ギターと身体が一体化しているかのように、ありとあらゆる感情表現を自由自在に音として表現していて、とても自分のと同じテレキャスターとは思えません。「こんな弾き方、音の出し方があるんだ!!」と、とにかくショックだったことを今でも思い出します。