11月14日の米WTI原油価格は、一時、8月11日以来となる1バレル=42.2ドルにまで値を下げた(一部のOPEC担当閣僚がガス関連会議にあわせて11月18日にもカタール・ドーハで非公式協議を行う見通しなどから、16日の原油価格は1バレル=45ドル台に回復している)。
トランプ氏が大統領選勝利以降続いている米ドル高や、前週末に10月のOPEC加盟国の原油生産量が日量平均3364万バレルと前月に比べて24万バレル増加したことが、原油価格の押し下げ要因となった。
サウジアラビアの「OPECは減産計画履行に向け合意する必要がある」という呼びかけにもかかわらず、10月のイランの原油生産量は前月比21万バレル増の日量平均392万バレルとなっている。市場関係者の間で「OPECが減産の詳細な合意をまとめられない」との失望感が広がり、原油価格は10月の上昇分をすべて失ってしまった。
OPEC原油に関する需給ギャップは現在日量100万バレル程度だが、これから冬場に向けて需要が約100万バレル減少することから、このままの生産水準が続けば来年初めには需給ギャップが200万バレル以上に拡大するおそれがある。
現在の原油価格急落を予測したことで知られるPIRAエナジーのゲーリー・ロス氏は、「11月末のOPEC総会で合意が成立しなければ、原油価格は1バレル=35ドルまで落ち込む可能性がある」とし、「OPECは自らの利益のために協調すべきである。さもなければOPECは世界の原油市場における存在感を失う恐れがある」との警告を発している(11月14日付ブルームバーグ)。