韓国では日本をしのぐスピードで少子高齢化が進んでいる。韓国政府はこれまでにもさまざまな少子化対策(韓国では低出産ということが多い)を打ち出してきたが、目に見えた効果はない。近く、新しい対策を発表するが、これを前に、与党から仰天対策案が飛び出してきた。
2015年10月21日、韓国の与党であるセヌリ党と政府の間で「低出産・高齢化対策協議会」が開かれた。この席で、与党の政策責任者からビックリするような対策案が出てきた。
「少子化対策の秘策」は学制改革
学制改革案だ。
韓国では、満6歳で6年教育の初等学校(小学校に相当)に入学し、中学(3年間)、高校(3年間)と進む。日本と同様の「6-3-3」の学制だ。
これを、初等学校5年間、中学と高校を合わせて5年間に短縮するというアイデアだ。また、満5歳で多くの子供たちが通う幼児学校についても「公教育化」、つまり、事実上の義務教育にする案を示した。
つまり、初等教育の開始年齢を1年繰り上げ、中学と高校を1年短縮するという内容だ。
セヌリ党はさらに、大学教育についても、現行の4年制を「IT教育の導入などで3年間に短縮できる」との考え方を示した。
学制改革案とはつまるところ、「教育期間の短縮」だ。
どうしてこれが、「低出産対策」なのか。
「早く就職、早く婚活」狙う
セヌリ党によると、就職の年齢を引き下げることで、結婚を促進しようということだ。
韓国は、空前の就職難が続いている。就職ができずに休学したり、就職に有利になればと考えて留学したり、複数専攻を選択したりして結果的に大学卒業年齢がどんどん遅くなっている。
これでは「婚活」の時間も意欲もなくなるということで、学制改革が必要だという主張になったのだ。